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札幌高等裁判所 昭和31年(ラ)69号 決定 1957年4月26日

抗告人 熊谷巖

主文

原決定を取り消す。

本件競落はこれを許さない。

理由

本件抗告の趣旨および理由は、別紙記載のとおりである。

職権をもつて按ずるに、本件記録中原決定の基本となつた昭和三一年一一月一二日午前一〇時の競売期日における不動産競売調書によると、執行吏は、同日午前一一時競買価額の申出を催告した後、同一一時二〇分、本件競売の終局を告知したことが認められる。したがつて、本件競売は民事訴訟法第六六五条第二項に違背するから、競売法第三二条、民事訴訟法第六七四条、第六七二条第七号により競落を許すべからざる場合であるのに、原裁判所がこれを看過して競落を許可したのは違法であつて、原決定はその取消を免れない。

よつて抗告理由の判断を省略し、民事訴訟法第四一四条、第三八六条により原決定を取り消し、本件競落はこれを許さないこととして、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 猪股薫 裁判官 臼居直道 安久津武人)

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